東京地方裁判所 昭和55年(借チ)1011号 決定
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【判旨】
第二当裁判所の判断
一<省略>
二以上によれば本件申立<編注・建物増改築許可>は相当と認めるべきである。
そこで本件申立を認容する場合の附随処分について検討する。鑑定委員会は、前記意見書において本件申立を認容する場合の附随処分として一九〇万円の財産上の給付を命ずることと月額賃料を一万四五二〇円(3.3m2当り三三〇円)に増額することを相当とする旨の意見を述べている。
ところで右意見書では、本件土地の更地価格を三七二三万五〇〇〇円(一m2当り二五万六〇〇〇円、3.3m2当り約八四万四八〇〇円)、借地権価額を借地権割合七〇%として二六〇六万五〇〇〇円(3.3m2当り約五九万一〇〇〇円)と評価し、前記財産上の給付額を、本件増改築承諾料相当額一三〇万三〇〇〇円(本件借地権価額×5%)と前記共同住宅建築時(昭和三八年ころ)に支払うべかりし承諾料相当額五九万七〇〇〇円(本件更地価格×昭和三八年末ころの推定更地価格率1/5×右当時の借地権割合七〇%×増改築承諾料率5%×右当時から現在までの十七年間の年5%の金利による複利現価率2.292)との合計額としている。しかしながら増改築の許可の裁判において裁判所が申立人に命ずる承諾料は、原則として当該申立にかかる増改築に伴ない賃貸借契約の当事者双方に生ずることあるべき利益、不利益等の諸事情を基礎にしてその額を算定すべく、右承諾料に加えて、これとは別個の例えば過去になされた増改築により当事者双方に既に生じている諸事情に基づきその際支払われるべきであつた増改築承諾料を算定し、これを申立にかかる承諾料に直ちに加算して財産上の給付額を算定するのは相当でないというべきである。勿論このように解すると賃貸人は、過去の増改築については増改築承諾料相当の経済的利益が得られないことになるが、抑々前示附随処分として財産上の給付が命ぜられる場合を除き、特約が存すれば格別増改築承諾料の支払を強制することはできないといわなければならないから、借地法に基づく増改築の許可申立事件において当該申立にかかる増改築とは別個の過去の増改築承諾料の支払をも命ずることはできない道理である。従つて前示鑑定意見書中に共同住宅(この建築は借地法八条の二の第二項の改正前である)の増改築承諾料に関する意見部分は相当でないというべく、その余の部分は本件に表れた一切の事情を考慮して相当と認むべきである。
(櫻井登美雄)